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中央式太極拳は南京中央国術館副館長【陳冸嶺老師】により編纂された南京中央国術館正宗太極拳
を起源とする、古式総合太極拳です。
気の武術の奥義は、これ即ち 健康長寿の奥義。
今日、太極拳の医学的健康効果は多くの医学論文で実証されてます。
先ずは気を感じる事から始め、自身の免疫力、自然治癒力を高めましょう。
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2015年7月20日月曜日

立禅の感覚 「自分」に回帰する一歩

台風一過の日曜日は総会。主に秋の大演武会に向けての打ち合わせです。
午後からは李老師の講義の予定がありましたが、今日はお忙しいため時間は短め。


李老師曰く、
「王樹金老師は"身体"しか動かしてなかったよ」
腕がちょいっと出れば相手が飛んでいく。

動き出せばすべてを弾き飛ばす「肉弾」と化していた王樹金老師ですが、あの体格をみれば納得です。




李老師が「やはりまだ手が、腕だけが動いている」という指摘がありました。
本来ならば緩やかに動かねばならない太極拳が
「速い運動」になってしまっている現状を改める必要があると思います。

立禅の感覚をもって、やるようにとのこと。
どうしても「肩から動かす」肩先の運動に留まっている。
立禅の感覚・・・それは、自分の身体との対話です。





ゆっくり動くことは「自分」の筋肉、骨、血、はては細胞に至るまでを感じます。
それは自分の身体の確認作業とも言えるでしょう。
本来の「自分」に戻るための大事な行程です。
他の誰でもない自分自身の肉体なのです。



現代の社会は心身の不調和を招く誘惑や阻害で満ち溢れています。
環境や宣伝に振り回され、他の視線ばかりこだわり、心身ともに「自分」を見失っていく中で、
自分の中心に戻るための功夫が必要な時代であるといえましょう。

とにかく世間では「速度」を要求される中、太極拳では「誰よりもゆっくり」が求められます。
自分に絡みついた既成概念をぶち壊し、自分に回帰する第一歩といえましょう。

時計の歯車をクリ・・・クリ・・・とゆっくりゆっくり回していくような感覚。
深い深い呼吸、じっくりと気とともに降ろしていく重心、緩んでいく関節。
周辺視野で目を束縛から解き放ち、こわばった顔もほどけていく。気を循環させていく。

自分が持っている本来のエネルギー、生命力を呼び覚まします。





2015年6月25日木曜日

美しき太極拳女子を応援します-05 補足編

「立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は百合の花」

立っている様子はあたかもシャクヤクの風情があり、座った姿は牡丹の花のように華麗で、
歩く様子はユリの花のように清楚な美しさである・・・・・・と、古い言い回しですね。

いわれには諸説ありますが「女性の姿かたちの美しさ」を例え表した言葉であることには間違いありません。
ちなみにどれも漢方薬です。




色とりどりのシャクヤク
花言葉は「恥じらい」「はにかみ」「謙遜」



今の時代、1番見られているのが「立つ、座る、歩く」などの動作。女性として「美」を追求するとき”立ち振る舞い”がポイントになるのです。つまり、ちょっと遠くからみられた立ち居振る舞いなんです。少し先にいるあなたを一瞬で判断し第一印象が決めるのです。あなたの生活から性格まですべてがうつしだされるのが姿勢となるのです。

なかなかスッパリ言い切ってるなと思って引用してきた文章ですが、やはり「立ち居振る舞い」というのは見られてしまいますし、見てしまいます。
たしかに美女と呼ばれる人で、あからさまな猫背の人はいませんし、超がつく美人でも、言葉遣いが汚く乱暴な人は品性がちょっと・・・とマイナス要素になりがちです。

モデルなんかでもほとんどの人は立ち居振る舞いの「訓練」を受けてきていると思います。
ある程度素質でこなせても、やはり一段上を行くにはそういった訓練を経てきているでしょう。


太極拳と言えば「武」です。
そんな武骨な立ち居振る舞いが役に立つの?とお思いでしょうが、そうではありません。

物理に適い、無駄なく隙なく最小限に、目立たずひそやかに、やさしいけれど芯の力は限りなく強く・・・というように、早い話が「相手に気付かれない動き」を目指します。
「柔よく剛を制す」というように、静かな動きで相手に技を仕掛けるために、結果として、優しく、洗練された立ち居振る舞いになるというわけです。



さて、前回のブログの補足になりますが、脚の気になるところといえば「膝」です。膝の角質や黒ずみはちょっと難しいですが、膝の使い方や体重が掛からないポジションを知るには太極拳はとても役に立ちます。


膝を悪くされている方は女性の方に多いように感じます。それは筋肉の量であったり、骨盤の広さであったり、ヒールのある靴であったり、冷え症であったり、男女差が原因であることは否めません。

そうそう。ヒールの高い靴は否定されがちですが、現代のファッションアイテムとして欠かせないのは間違いありません。
履きこなせると素敵ですしね。
ファッションを追求すると「やせ我慢」という側面があることを否定できません。
なので、後できちんと自分の脚や腰をしっかりケアしてあげれば問題ないと思います。


また、ジョギングやウォーキングでもちょっと無理をすると膝を痛めてしまいがちです。荷重、衝撃、捻りが加わってしまうのである意味当然でしょうが、ケアも入念にする必要がありますね。



ボタンの花
花言葉は「風格」「富貴」「恥じらい」「人見知り」


武術的にも健康的にも、膝の使い方は重要です。

脚には、股関節、膝関節、足関節(足首)の3つの大きな関節があります。それぞれ脚を動かす役目と体重を支える役割の、2つの大切な機能を果たしています。その中でも膝関節は脚の関節の中心的な役割を担っています。


そして、我々は膝を「曲げて伸ばす」それだけにしか感じていませんが、その構造は思う以上に複雑です。脱臼しないように、骨やら筋肉やら腱やら軟骨やらが、回転しながら軸をずらしつつ曲がっていく云々・・・。しかも曲げながら脛も捻ることができるという、「超絶技巧」な構造です。

あまりにも便利すぎるために、ついつい酷使してしまった挙句が膝の不具合になるという・・・。


太極拳では、膝の使い方・無理のない位置や角度を(体で)学びつつ、主動力として股関節を駆使する方法を(体で)学び、足首を緩めるコツを(体で)習得していくことで、健康的な脚(下半身)に仕上げていきます。特に股関節をしっかり緩めて、しっかり使うことで膝の負担も減少します。

緩めるとは余裕を持たせること。
100%使えるけど、80%でセーブするコントロールを身に着けること。


だるまスワイショウ、ペンギン歩き、おいらん歩き、三分間立禅など、名前だけは楽しいメニューが盛りだくさんです。
基本練習をしっかりこなしておけば、型(套路)はあとからついてきます。



先のブログでもちょっと書きましたが、股関節を使うというのは脚が高く上がるとか、開脚ができるとか、そういう「可動域が広い柔軟性」ではありません。
簡単に云うと、骨盤と連携して、脚の外旋・内旋や引き寄せなどができるかどうかです。
見せ技として180度開脚ができればすごいのでしょうが、肝心要の連動やインナーマッスルがしっかり働いてなければ「ふーん」で終わりです。

バレエでいう「グランバットマン」であっても、腰や背中がグンニャリしていたりすればまったく意味がないのと同じことです。


ストレッチでは可動域の柔軟性を養えても、連動や細かい筋肉にまで意識をいきわたらせることは難しいです。単に「柔らかいこと」だけを求める作業になってしまいますので。
柔らかければ美しく動けるか? 動けないと思います。ストレッチそれ自体には動かすための訓練が含まれていません。

太極拳では基本鍛錬で膝をしっかり上げることを第一として、インナーマッスルや股関節周りや骨盤の細かい筋肉を
稼動させることを優先します。
独立歩(片足立ち)でバランスを感じながら膝をしっかりゆっくり上げ下げできる感覚を掴めるようになれば、
無駄な筋肉の力が抜けてきますので自ずとストレッチも捗るようになります。



まずは美しい「膝蹴り」を出せるようにがんばりましょう。



ユリ(ササユリ)
花言葉は「純粋」「無垢」「威厳」

2015年6月23日火曜日

美しき太極拳女子を応援します-05 美脚

6月も半ばを過ぎ、旧暦の5月に入りましたね。
旧暦5月は高温多湿の盛夏であり,伝染病や毒虫の害がはなはだしく,悪月とされた云われもあります。

22日は夏至なので、まさに「夏」の中の「夏」です。
旧暦の5月は「午月」でもありまして、「午」は十二支いうならば真南・火気の正位にして帝旺です。
要するに真っ盛りってことですね。

「夏至」を境にして、今まで陽に上っていたのが、陰に転じていく境目です。
7月下旬は暑いだけの下り坂の「夏」で、8月は残り物の夏です。



とはいえ、世間ではこれから来る夏に向けて、
女性誌やフィットネス誌にも「美脚」の二文字がさんさんと輝いております。

いかに脚を鍛えるかっ。美しくなるかっ。


先のブログでは「キックボクシング女子」と書きましたが、
モデルさんを中心に脚を激しく動かすタイプのフィットネスが支持されているようですね。
ストレス解消にもなるし、運動量も大きいし、利点が多そうです。
4月には元・ムエタイの日本人女性チャンピオンが「キクササイズ」のジムを東京に
オープンさせました。
また、スポクラの会社がアディダスと提携して、
“走らなくても走れる脚をつくる”プログラム『adidas gym&run』を拡大展開するようです。


本当に「脚技」は女性の特権です。




さて、「脚」というのは二足歩行の動物である我々にとって生命線です。
武術的に見るならば、攻めやすく守り難いところでしょう。
太腿だけじゃありません。内腿、膝、脛、足首、足指etc・・・。
そして、「足元がお留守になってますよ」ではありませんが、
意外に守りにくい。目が届きにくい、意識が行きにくい、バランスを崩しやすい。
当てやすいのです。


もっとも、これらは武術的な見解なので、そこまで気にする必要もないかもしれません。


そして、加齢による脚の機能の低下。特に骨盤・股関節の筋肉が弱ってくると大変ですね。
美容に関係する数々の雑誌やサイトで取り上げられているので割愛します。



李老師は「脚は手のように使い、手は脚のように使う」と云います。
手よりも仕事が2つほど多いのです。
それは「重心移動」と「身体を支える」ことです。

太極拳では蹴ったり歩いたりするだけでなく「気を通じさせる(意識を届かせる)」
練習・意識が加わりますので、そういう意味ではひと手間多くなってしまいます。
太極拳の型では前に出す脚は、常に変化することを念頭におきます。

前に出す脚は移動かもしれないし、攻撃になるかもしれない。
スッと受け流す動きになるかもしれないし、足の裏で受ける動きになるかもしれない。

繊細な脚の感覚と動かし方を習得します。

何も特別難しいことをするわけではありません。
「ゆっくり」と「丁寧」に「大きく」動かすことを心がけるのが基本になります。

ただ、これを心がけるとついついやってしまうのが「下を見る」こと。
逆に云うと「普段どれだけ脚の動かし方と感覚がいい加減か」の良い証拠です。
これも早々に卒業するように練習します。


モデル・タレントの「青野楓」



もちろん、物理的に動かす基礎である鼠径部・股関節もバッチリ練習します。
太極拳の脚技の基本は「膝を高く上げて、降ろすこと」。
足先じゃありません、まずは膝を上げること、です。
一見すると楽そうですが、太極拳的に上げるとなると予想以上にハードルが上がります。
(もちろん、段階に応じて、ですが)
膝を上げることに夢中になると軸足が疎かになります。忙しいですね。


そして、上げたものを下す。ドスンと落としては意味がありません。
自分の責任で、自分の力でゆっくりと下します。


一方で、「脚がここまで開く」とか「高く上がる」といった
可動範囲の柔軟性はあまり要求していないのですね。
あるに越したことはありませんが、少なくとも優先はしない。
太極拳には基本的にハイキックやミドルキックはありません。

とはいえ、蹴り技大好きK姐先生がA先生の指導を仰ぎつつ個人的に研究しているようです。
相手を崩してからの垂直蹴り上げは見事ですね。
もともと柔らかいこともあったのですが、膝の上げ方を工夫してから
威力が増してきたように思います。



先ずは内腿、腸腰筋などのインナーマッスルを鍛え、股関節周りの小さな筋肉をどこまで使えるようになるか、
連動させられるようになるか、が重要です。
骨盤底筋群も見落とせません(太極拳では常に意識しますが)。
ついつい膝が開いてしまうとだらしなく見えてしまいますからね。


また、隙を無くし無駄な動きを排し、重心を安定させるので、
なにより「足運び」が優雅に、美しくなります。




「剣」と「脚技」は女性に与えられたギフトですね。

※6/25 補足編を追加





うちの流儀にはハイキックがありませんが、女子研究会みたいなのはあります(笑)。


2015年6月17日水曜日

歩き方と不整地

二足歩行。ヒトがヒトたる由縁のひとつ。

二足歩行というのは、「移動手段」という位相においては、
人類学者のオーウェン・ラヴジョイ曰く、

「実に馬鹿げた移動方法」


危機に際して素早く動くというだけならゴリラやシンパンジー等に見られるような
ナックル・ウォークの方が数段優れているでしょう。



そんな二足歩行のメリットとは何か。
いろいろあります。ひとつあげるとすれば「道具」が使えることがその最たる
ものではないでしょうか。


※宇宙世紀史上初の汎用人型兵器であるザクシリーズですが、
実は「宇宙空間」及びコロニー内での疑似重力下での運用が初期の前提で、
四肢は工作作業とともに宇宙空間での
AMBAC(システム) [Active Mass Balance Auto Control(System)] 
「能動的質量移動による自然姿勢制御」
の採用によるものです。四肢を工作作業兼攻撃用兼制御装置
として活用したものといえるでしょう。

どこかから引用。
AMBACは概念としては難解なものに思えるが、原理そのものは単純であり、我々が日常的かつ無意識に体験していることである。我々が重力下で(宇宙空間でもかまわない)体のバランスを崩したとしよう。例えば片足で立っているときや、綱渡りをしているときなどである。その時我々は、全く無意識のうちに両腕を広げ、あちこちに向けたり振り回したりしてバランスを取り戻そうとする。これがAMBACであり、MSも腕や脚を使って同じ事を行う(もちろん、重力下でも)。

健常な人間はこれをほとんど意識せずに行うが、それは赤ん坊の這い這いに始まり、やがて2本の足で歩けるようになる過程で自然に習得していくものである。しかしこれを機械に実行させることが如何に困難であるかは容易に想像できるだろう。MS-01で初めてAMBACを実用化したジオニック社は、実質的にMSという兵器そのものを発明したことになる。

「動的バランス制御」という概念においては「システマ」も同様といえるでしょうか。



前置きはこのくらいにして、「ウォーキング」ほどではないですが、歩きに行きました。
求めるものは速さでもなく、距離でもない。
太極拳的な身体の使い方を検証するような歩き方ですね。

なので遅いんですよ(笑)。
ウォーキングの主なスタイルは手を振ってやや大股でシャカシャカ歩く、
そんな感じです。まさに正反対。



極端に云うと、太極拳は歩いていません。
脚が左右に入れ替わっているだけです。
地面を蹴らないし、身体を倒して反射的に脚が出るように
仕向けている訳でもありません。

約束事としては、
地面はとにかく蹴らない。
足は平行に。
掌は地面に向けて。
膝を使わず、大腿部(股関節~丹田)をメインに。
そして「慣性」を利用しない。スピードを出してしまうとそれを利用してしまいますからね。

あとは、前傾しないこと。

だいたいこれらを守りながら歩いていました。
もちろん途中でいろいろとパターンを変えながら歩きます。

周辺視野のトレーニングも忘れません。


途中で歩きながら短めの棒などを軽く振ってみたのですが、これはダメかもしれません。
下半身に意識が行かなくなります。
きちんと太極拳的な身体の使い方が成されていれば問題ないですが、
今の段階ではまだまだでしょうね。
どれだけ動いていない部分に活を入れるかですから。






そしてもうひとつ。不整地での練習です。
不整地と云うのはデコボコしている地面のことです。

足元がいつも平坦とは限らない・・・・ということです。
そこでどう歩くか・・・です。
(こんなところを好き好んで歩く人間はいませんわな)

山やらを走るのはトレイルランニングがありますが、そこまで走り込む
わけではありません。

ただ実際問題として、災害時などには足元が不整地になる可能性は大なので、
そういう心掛けはあった方がいいかもしれません。

また、靴の性能も大きく反映してきます。


今回は低い突起突きコンクリート張りで、
ところどころに草が生えている不整地でやってみました。
さすがに転がる受け身でもこれはキツイ。

普通に歩くと、たしかに歩きにくいです。
上下動が激しくなり、ついつい地面を見てしまい、首や上体が前傾。
軽い眼精疲労や首や肩に凝りが出てきます。もちろん時につまづきます。

では、さらに膝を使わず、股関節をもっと使って・・・と
意識してみると多少マシになりました。
足首の力を抜くと良いのですが、ふくらはぎがパンパンになってきます。


結論から言うと一番具合が良かったのは形意拳の歩法です。
何も考えずに形意拳の五行拳をしてみたら、ほとんどつまずかず、
ひっかからずに移動できました。ちょっと勢いをつけてやってみてもあまり問題なく。
この程度の不整地だったら、足元を気にせずに戦えます。

泥濘や砂利道などではどうなるかわかりませんけどね。


なお、八卦掌は微妙でした。これはまだ鍛錬が足らないせいかと思います。



平坦な道では膝はほとんど意識しないと思います。
膝の使い方といいますか、膝を中心に歩かないということが大事ですね。
膝関節については直角に曲げ伸ばしすることが基本の関節なので、
クッションやコントロールポイントではあるかもしれませんが、動力源ではありません。


あと、股関節(鼠径部)を使うとけっこう疲労感や筋肉の痛みが出てくることがあり、
これでついつい止めてしまう人が多いんじゃないかな?と。


「痛み」は切っても切り離せないもので、時には避けて通れないこともあるのですが、
説明はたいへん難しいです。

太極拳の功夫における「痛み」の問題もありますが、これはまたの機会に。


2015年5月29日金曜日

八卦掌-02


八卦掌が日本に初めて公式にもたらしたのは王樹金老師です。台湾政府からの文化特使としての来日でした。そして、中国武術研究家の松田隆智による紹介も大きいでしょう。
3年ほど前でしたか、「一代宗師(邦題 グランドマスター)」が上映された時、ちょっとだけ話題になったような記憶もあります。


チャン・ツィイー 舞台裏

こういう服装で事もなげにやるので余計にかっこいいですね。




八卦掌は、見た目の特徴として拳ではなく掌による攻防を主として、「走圏」という独特の功夫を積むのが大きな特徴ですね。そして「八卦掌」は清代末の「董海川 (?~1882)」の創始なのですが、そのままのモノが残っておりません。既に二代目の時点でかなりバラバラになっております。


元々、他の武術を学んでいる人間が八卦掌で自分の武術を高度に高めるための要素になり、また 董海川もそうした傾向にあります。極端な話、先生によって異なるとも言えます。現在では他の武術を取り込んだ状態になり、初めから八卦掌を学ぶ事も流派によっては可能です。ただ、どんな八卦掌流派であっても基本の単換掌と走圏は、おおよその部分で共通しているところが多いですね。



八卦掌は動作に対称性を持たせることによって、それぞれの相対的意義を理解できるようにっていると思います。左と右、高いと低い、前と後ろ等々・・・。八卦掌はその対称性故に、功夫が深まると美しい動作が生まれてきます。

映画「グランドマスター」では、映像美として拳法の闘いを描いているのが特徴だと思います。八卦掌の特徴を上手く映像化していますね。ストーリーの内容や展開は「・・・??」らしいですが、映像だけでも見ておく価値はあるでしょう。


さて、肝心の八卦掌の内容ですが、一見すると舞っているような優美な印象を受けますが、その実はなかなか鋭いトゲを持ちます。優雅な掌の一閃々々が必殺の威力を持つ、やはりこういうところが魅力的なのでしょうね。女性が八卦掌をやると際立ちますね。
とにかく身体の要所を捻転しますので、呼吸法と合わせるとシェイプアップにも最適です。



李老師の八卦掌は独特のリズム感と躍動感があり、見ていて非常に素晴らしいです。

ただ、太極拳以上に見た目の動きに「騙される」ので手先の動きになりがちです。
形意拳は呼吸やタイミングなどがシビアなので出来なければできないと明確なのですが、八卦掌は何となく雰囲気で流せてしまうコワサがあります。我ながら耳が痛いですが(苦笑)。

基本をしっかり積んだ上での習得になるのが望ましいので、当会では基本からしっかりやっていきます。会員さんの中でも頑張っておられる方もいますね。




晩年の王樹金老師になると、李老師に伺った話と映像から検討した推測では「立てば太極拳、進めば形意拳、回る姿は八卦掌」という感じで、あの体型とも相まって、もはや渾然一体と化した様子ではないかと思います。
 
そういう意味でも太極拳を中心に弊習していく方針となっております。
時に形意拳、時に八卦掌を学び、研究し、また太極拳に戻っていく・・・そんな流れです。
私も昔は形意拳や武器だけでいいじゃないかと思ってましたが、そうではないと感じております。



A先生もT先生もK姐先生も「使っていて便利だな~」というのが共通した感想ですね。





2015年5月22日金曜日

小満


春過ぎて  夏来にけらし  白妙の衣干すてふ  天の香具山

持統天皇(新古今和歌集 夏歌)








暦の上ではすでに夏です。
これから秋に向けて、身体とともに「氣」の質や量を大きく引き上げて開花を目指すには、とてもよい時期です。タイトルに「小満」とありますが、21日がその日でした。二十四節気のひとつで「万物が次第に成長して、一定の大きさに達して来るころ。麦畑が緑黄色に色づき始める」とあります。




・・・麦畑ってあまり見た記憶がありません。


今日は補助教材としての身体のポイント図を配布しました。百会・会陰・丹田(気海)・ダン中・命門といった基本の箇所と名称を覚えてもらうためです。指摘する際にも用語として出てきますし、これらの箇所をある程度でも意識できれば練習の助けにもなります。


初心チームも着実にステップアップしていますし、これからが楽しみです。最初は套路についてくるだけでも大変かもしれませんが、見よう見まねでも「立ち方」と「丹田」さえしっかりしてくれば大丈夫です。やはりなんといっても足腰の充実こそが武術と気功・健康法の要です。




全員で套路の後は攬雀尾を復習し、その後、私も姉弟子と「指取り」(指をにぎってもらってやる簡単な遊び推手)をやりましたが、かなりやられてしまいました。師範の助言で多少は長持ちするようになりましたけど、まだまだです(汗)。
師範の「気のそらし」やT先生の「目力」など、今日はわいわいと遊びながら対練的な練習が多かったですね。別にできなくてもいいんです。今この体験が大事ですね。















2015年5月18日月曜日

研修会

今日は午前中に演武会などの打ち合わせで、午後からは講師の研修会でした。

李鴻儒老師が取り上げたテーマは「腎」です。
冬は腎の活動が活発になりますが、冬が終わり春を過ぎ、そして初夏になりました。
腎もすっかり弱っている頃です。




「腎」は現代医学では「腎臓」に該当します。
その 「腎」は精を蔵し、生命力の源である「原気(元気)」をもたらします。
精は生命力と成長と生殖力の根源で、この精が腎により活性化されたものが「原気」です。

「腎臓」としては、体内の水分を一定しに、血圧や浸透圧をコントロールします。また、ホルモンも分泌します。臓器としては、身体の健康状態の方向性を間接的に決定づけます。

ここが弱ってしまうと、精力が衰えたり、気力がなくなってしまったり、老けて見えたり、たいへんよろしくありません。


軽く単操(素振り)をしてから「立禅」に。特に腎や背中を中心とした型です。

先生方も姿勢が調整できたとか、首が通ったとか、いろいろ効果的だったようでみなさん興味深い感じでしたね。私も腎のあたりがソフトに通るようになった感じがあります。
締めでは丹道の「座禅」です。 自己のうちに気を求める、それだけです。


その後は各自で意見交換や質疑応答で過ごしました。


私は攬雀尾の「採」の教授法を検討させてもらいました。

他には、ひさしぶりに李老師に技の手ほどきを受けましたが以前にもまして独特の重くて弾力のある感触は流石です。文字通りの「老いて益々盛ん」ですね。



「腎」の大切さはもはや言うまでもありません。内臓疾患だけでなく、腰痛などとも関わりがあるとも云われることも多いです。T先生は今日の研修会で学んだことで結石を落としてみるとおっしゃってます。


怠りなく養生を心がけましょう。
生命というと無限大に健康でありたいと思う気持ちがあるかもしれません。
しかし、生命は「秩序」であり、健康は秩序を保った結果にすぎません。
これもまた「中庸」ですね。







たこぼうず最中


T先生のお土産です。めずらしい「蛸型」の最中で、ボリュームたっぷり。ごちそうさまでした!




2015年5月11日月曜日

太極拳と膝(ひざ) 

「膝」。
その重要性はことさらに云うまでもありません。


************
スポーツでの「ひざ」


  • 膝は体重を支える重要な部位だが、負傷するケースも多い。膝が伸びた状態で正面からの衝撃に弱く、体重が過度に重いと膝に負担がかかり障害を起こす。半月板や前十字靭帯の負傷、傷害のケースは多く、腰に次いで直立二足歩行の弊害を大きく受けている箇所である。

  • また、横に捻る動作に全く対応していない。格闘技で使用される関節技でヒールホールドというかかとをひねる技があるが、この技は膝靭帯を破壊する危険な技である。

  • その反面、曲げた状態で体重を乗せる膝蹴りは膝という鋭利な部位を有効に使えるため重くて硬く、使用頻度が高い。



  • 「膝」-Wikipediaより抜粋


    ************


    上記にもありますように、膝は「横に捻る動作に全く対応していない。」のです。初級者ばかりではありません。中級者であっても、ついつい膝から捻る動作に入ってしまいます。また、膝に体重が乗ってしまうような歩き方をしてしまっていることもあります。これらが重なると膝に大ダメージが来てしまいます。


    ウォーキングやジョギングなども健康的でたいへんよろしいのですが、膝をいたわることの重要性もよく説かれています。アスファルトの上を走るのであれば、30分ごとに休憩を取ったり、ストレッチを行う事で関節軟骨の負担を減らす事を意識する、などです。






    さて、練習中でも時折「膝が痛い」という声が上がります。
    姿勢などをチェックしたり、アドバイスしたりするのですが、外部が如何に手を尽くそうと結果的には『身体の使い方が悪い』という結論になってしまうのです。
    (外科的要因によるもの等はその限りではありません)


    仮に一から十まで姿勢や重心などを正しく物理的に調整してあげても、右を見て左を見ればもう元の「自分」に戻っています。整えてあげた形が一瞬で崩れてしまうのです。それだけ普段の身体の使い方の癖は強いのです。まるで突き放すような言い方ですが、誰も代わってあげられない「自分の身体」の運動失調は、他の誰でもない自分自身で調整しないといけないのです。骨格、筋肉といった組織から神経系、備わっている身体能力など、誰一人として同じ人はいないのですから。


    どうすれば痛くないか、動けるか、自分の身体を感じて、調整を重ねて模索していくのです。一方で、膝が痛いからと云って「膝」だけに捉われていては解決は遠くなります。足首、股関節、脇腹、肩甲骨、首、重心の位置や目線、足の裏など、たくさんの部分を見直して調整します。
    文章で書いてしまうと大変そうに見えてしまいますが、考える必要はなく、落ち着いて自分の身体を感じていけば、自ずと「道」が見えてきます・・・・・人によっては「蓄積・段階型」だったり、「閃き・気づき型」だったり、丁寧にコツコツやっていればたどり着けるでしょう。









    太極拳はいわゆる「武術」に基づく身体操作であり、そういう点においても自分の身体に負担をかけるものではありません。ただ、人間が生まれ持った動きではないので、「武術」としての基本の動き・立ち方をしっかりと習得する必要があります。
    それだったら覚えの良い若い時にやっておけば・・・・と思ったかもしれない人、そうではありません。太極拳はとりわけ「ゆっくり丁寧に」が求められるので、むしろある程度年を経た人の方が向いています。エネルギーがありあまっている若い人だと、とてもじっくりやっていられません。




    話を戻しますが、基本がしっかりできていないと、太極拳のより高度な動きができないのは当然、膝だけでなく、腰や首などを痛めてしまうこともあります。
    このあたりは「バレエ」なども同様かと思います。バレエでは、「バレエ」の動きの基本を徹底させます。どんな動きであっても基本から逸脱することはありません。どれだけ上達しても必ずバーレッスンでチェックします。




    太極拳も、実は基本鍛錬で動きをチェックしたりしています。いちばん分かってしまうのが「恐怖の脚上げ後ろペンギン歩き(通称)」ですね。






    太極拳の基本さえ身につければ、おおらかに動くこと、動けることがとても楽しくなってくると思います。ただ、どうしても型をきれいに演舞することに目が行ってしまいがちです。しかし、どんな植物も水をやったり土を手入れしてやったりしないと美しい花を咲かせたり美味しい果実を実らせないように、しっかりした土台を培うことでようやく演舞がうつくしくなっていくのです。






































    2015年5月2日土曜日

    太極拳はなんで「太極」

    会員さんから「何で太極拳というんですか?」と質問を受けたことがあります。


    お恥ずかしい話・・・・・・これがスマートに答えられない( ;´・ω・)

    たとえば、易学の教室で李老師や姉弟子、クラスメイトの人たちと今更「太極」に
    ついて議論することはほとんどないです。ひとつの「共通認識」としてお互いに
    共有しているので、突っ込んで解説することもありません。
    「アレは五行の関係性で・・・」「太極図のうんぬんかんぬん」とだけで済みます。


    そして、法則性だとか、方程式みたいな約束事はしっかり覚えていますが、
    いざ説明しようとなると、情報と知識の整理から始めることになります。
    なので、戸惑ってしまいます。全く知らない人に対する説明がたいへん難しい。
    「・・・・・だからまぁ、そーゆーこと」みたいに締めくくってしまいます(笑)。




    では、太極理論等を知らなければ太極拳はできないか?ということは全然ありません。
    別に知らなくても太極拳は十分できます。太極拳といっても、
    やはり物理学心理学人間工学解剖学etc・・・が先立ちます。
    そこまでオカルトなものでもありません。




    ざっくりと書いてしまえば、おおよその古流武術に宗教的・哲学的な
    思想が付随します。剣術と禅、合気道と古神道、少林拳と仏教etc・・・。
    陳一族の武術だったものに、太極思想などの中国伝統哲学
    (中国には西洋哲学的なものはありません)が
    合わさったもの・・・と書いてしまうのは少々乱暴でしょうか。




    さて、 『太極』と言う言葉の語源は《易伝・係辞上》から来たものです。
    一般的には道教のイメージが強いかもしれませんが、道教より原初である
    「易経」に由来します。


    「易有太極」 (易に太極あり)。




    そして、太極図の正式な名称は「陰陽魚白黒太極図」と云い、
    よくある白黒だけの「太極図」は簡略化された図案です。
    その白黒の勾玉が合わさったような部分は陰陽魚と云います。
    太極図は、陰陽魚の外側には八卦方図、もしくは八卦円図を配置してこそのもので、
    白黒マークだけでは、正確に言えば太極図ではありません。




    中央の白と黒を分ける線は「中道」です。
    白黒の部分よりも重要視するのはこちらでしょう。常に陰と陽は変化するものであり、
    その変化の中で陰と陽の配分が等分に近くなるように、自ら動的にバランスを
    とらねばなりません。




    陰と陽と、そして中。これこそが太極拳の太極理論たる由縁かもしれません。



    このように、ある程度かじっていると、学がある風に装えます(笑)。
    もちろん、東洋思想の精髄でもありますから、達人になればなるほど
    有用になると思います。ただの武術、ツールとしてではなく、それらがあることに
    よって精神性、ひいては宇宙観に関わっていくのだと思います。


    軍隊ならいざしらず、精神性を失った武術は、現代では
    社会保安上の潜在的な懸念にしかなりません。






    さてさて、小難しいことはともかく、マークとしては実に秀逸ですね。
    分かりやすい。なんとなくイメージしやすい。道着にこのマークをつけておけば、
    とりあえず太極拳っぽく見えます。オリエンタリズムもたっぷりです。


    案外、そのあたりから命名したのかもしれませんねぇ。


    いずれにしろ知らないよりは知っていた方が良いのは間違いないでしょう。
    当会でも講師を目指す人たちにはある程度知ってもらっておいた方が
    よろしいので、またテキストなり何なり作らないといけません。






    2015年4月25日土曜日

    肩こりと歩き方

    新しく入られた会員さん達の何人かはもう1か月以上経ちました。早いものです。


    なんば教室はどちらかといえば基本がメインになるので、套路を早く覚えたいという焦りもあるかと思います。しかし、大丈夫です。基本の立ち方や動き方ができれば、套路くらいなら見ながらでもできるようになります。


    女性会員のおひとりに伺ったところ、肩凝りの負担が軽減してきたとのこと。現代では、肩凝りは男性よりも女性の方が深刻かもしれませんね。


    ********************************
    女性を悩ます肩こり&首こり


    ヒトの頭部は約5キロの重さがあります。それを常に支えているため、首から肩にかけての筋肉に疲労がたまり、肩や首がこりやすいといわれています。また、女性は男性に比べて首が細いため、男性よりも肩や首にかかる負担が大きく、こりに悩まされる人が多いようです


    (中略)
    実際にどのくらいの割合の女性が、こりを感じているのでしょうか? 2014年7月に実施した「肩こり・首こりに関する調査」によると、肩と首のこりを経験している女性の割合は、男性の約1.5倍ということがわかりました。
    とくに、仕事や子育てに忙しい30代、40代女性の8割近くが肩こりを、6割強が首こりを感じていることが明らかになりました。


    ********************************



    首や肩の筋肉量が男性に比べるとあきらかに少ないところに髪やバストの重さも加わります。ヒールが高い靴を履けば重心・姿勢の変化による負担もあります。
    そして、どうしても数々のストレスから身を守るために無意識に首や肩をすくませ気味になる、あるいはすくませるのを止めるために、デコルテラインを無理やり作っているという事もあります。


    健康だけでなく美容とも大いに関係のあるコトだけに、見逃すことができません。


    練習が始まると、基本の「ダルマ気功スワイショウ」をたっぷりやって全身をゆるめるのですが、
    この会員さんも当初に比べるとずいぶんと緩み始め、肩甲骨周りもやわらかくなってきました。
    ある程度ゆるめるクセがつくと、たとえ凝ってきても回復しやすい身体になります。


    もちろん、太極拳の套路にも無関係ではありません。






    もう一人の女性会員さんにも聞いてみました。
    つまずきが少なくなったとのことです。以前はちょっとした段差や足のもつれがあったそうです。
    また、「ズリズリと足を引きずって歩きたくない」とのことなので、この調子で続けていけばその心配は無用のものになるでしょう。


    どうしてもズリズリと引きずり歩きをすると老けこんで見えてしまいます。脚の機能低下は美容・健康ともに悪影響が大変大きいです。
    つまずきが少なくなったとのことなので、脚そのものの感覚やバランス感覚が向上。軸がしっかりしてきたのでちょっとしたことで身体がぶれなくなった。そして片足で身体を支えられるようになった。こういった変化が考えられます。




    健康によい歩き方ということでいろいろ歩き方が提唱されています。
    エネルギー消費が大きいという事で「後ろ向き歩行」があります。


    太極拳にも後ろに下がる「倒攆猴(とうれんこう)」という型があります。もちろん基本練習にも取り入れられているくらい重要な型で、これがまた大変なのです。
    呼吸、バランス感覚、丹田、体幹の使い方、周辺視etc・・・・・・もちろん段階に応じた要求がされますが、かなり忙しいです。普通の「後ろ向き歩行」で消費されるカロリーの何十倍になるんだろうかと思います。















    2015年4月18日土曜日

    季節の変わり目と搬攔捶

    このところ気候が乱れてますね。

    「乱れる」というのもある意味人間の勝手な見方で、天候といいますか、大気などの地球の循環作用ですから
    そもそも人間がどうのこうのできるレベルの話ではありません。


    人間以外の野生動物は天候が荒れることを察知し、そそくさと姿を消して鳴りを潜めます。

    残念ながら「今日は天候がおかしいからさっさと帰ります」なんて話が通じる人はまずいません(笑)。
    いや本当に、天候が不順な時はさっさと帰っておとなしくしているのが一番です。
    あるいはしっかり練習してさっと汗を流すなどしてリセット&デトックス。



    暑い寒いは当たり前として、湿度、気圧とか風向きや風力などの要素は結構心身に影響を与えると思います。
    心も体もバランスが崩れてしまいます。そこでは耐久力よりも調整力が大事かと。

    調整力の基は何と言っても呼吸ですね。


    17日からすでに「春の土用」に入っております。
    土用と云うのは四季それぞれにあり、季節と季節の間の過渡期。
    古い季節を殺し、新しい季節を生じる、生殺二道の大いなる「土気」の気節です。
    春夏秋冬のそれぞれにあり、もっとも有名なのは「夏の土用」。

    土用の最中と前後の期間は何だかんだで心身が乱れますね。自分もそうですが、周りもそうです。
    自分はどうにかなっても周りがどうにもなりません。
    何事につけ大人しくしておくことが吉かと思います。


    さて、今週の練習では搬攔捶(はんらんすい)でした。
    型の中にも何度も出てくる重要な型なので初心者の人たちも一緒にやりました。

    ストレートパンチにならぬよう「拳を置くこと」を大事にしながら繰り返し繰り返しやっていきます。

    もちろん左手も大事なのですがこれがなかなか難しい。教えるのも実は難しい。
    中級者でもここの感覚がわからないと左手がクチャクチャになってしまうのです。
    威力はともかく、意外に形を綺麗に決めるのが難しいのが搬攔捶。

    師範のナイスな指導で初心者でもあっさりと形になってしまったのは驚きでした。



    その傍らで、姉弟子が楽しそうに「コレでこーやったらええやんっ!」と技をかけてきます。
    それを本気でやられたらこちらが死んでしまいます(苦笑)。


    まだ少し時間があったのでその後は二手に分かれ、初級チームは搬攔捶をやりながらちょっとだけ形を進みました。



    着実な歩みこそがうちの教室の特長です。





    季節の変わり目と搬攔捶

    このところ気候が乱れてますね。

    「乱れる」というのもある意味人間の勝手な見方で、天候といいますか、大気などの地球の循環作用ですから
    そもそも人間がどうのこうのできるレベルの話ではありません。


    人間以外の野生動物は天候が荒れることを察知し、そそくさと姿を消して鳴りを潜めます。

    残念ながら「今日は天候がおかしいからさっさと帰ります」なんて話が通じる人はまずいません(笑)。
    いや本当に、天候が不順な時はさっさと帰っておとなしくしているのが一番です。
    あるいはしっかり練習してさっと汗を流すなどしてリセット&デトックス。



    暑い寒いは当たり前として、湿度、気圧とか風向きや風力などの要素は結構心身に影響を与えると思います。
    心も体もバランスが崩れてしまいます。そこでは耐久力よりも調整力が大事かと。

    調整力の基は何と言っても呼吸ですね。


    17日からすでに「春の土用」に入っております。
    土用と云うのは四季それぞれにあり、季節と季節の間の過渡期。
    古い季節を殺し、新しい季節を生じる、生殺二道の大いなる「土気」の気節です。
    春夏秋冬のそれぞれにあり、もっとも有名なのは「夏の土用」。

    土用の最中と前後の期間は何だかんだで心身が乱れますね。自分もそうですが、周りもそうです。
    自分はどうにかなっても周りがどうにもなりません。
    何事につけ大人しくしておくことが吉かと思います。


    さて、今週の練習では搬攔捶(はんらんすい)でした。
    型の中にも何度も出てくる重要な型なので初心者の人たちも一緒にやりました。

    ストレートパンチにならぬよう「拳を置くこと」を大事にしながら繰り返し繰り返しやっていきます。

    もちろん左手も大事なのですがこれがなかなか難しい。教えるのも実は難しい。
    中級者でもここの感覚がわからないと左手がクチャクチャになってしまうのです。
    威力はともかく、意外に形を綺麗に決めるのが難しいのが搬攔捶。

    師範のナイスな指導で初心者でもあっさりと形になってしまったのは驚きでした。



    その傍らで、姉弟子が楽しそうに「コレでこーやったらええやんっ!」と技をかけてきます。
    それを本気でやられたらこちらが死んでしまいます(苦笑)。


    まだ少し時間があったのでその後は二手に分かれ、初級チームは搬攔捶をやりながらちょっとだけ形を進みました。



    着実な歩みこそがうちの教室の特長です。





    2015年4月11日土曜日

    美しき太極拳女子を応援します-04

    テレビを見ていると「腸環境ダイエット?」(名称失念)という、腸に働きかけて
    美容だったり健康だったり、向上させていこうという内容でした。




    芸能人が施術を受けたり自宅で運動にチャレンジした結果、ウエストが締まったり、
    便秘が治ったり、腸を整えることによりさまざまな効能が出るという事をやっていました。


    これはうちでも似たようなことやってるなー・・・と観ておりました。


    スワイショウやら八卦掌やらetc。
    ※テレビでやっていたのは「専門家の施術+指導による自宅エクササイズ」による賜物
    なので、一概に同一化することはできません。念のため。










    腸を活性化させることはとても良いです。先にも書きましたが、生物としてもっとも最初に
    できた原初の器官として小腸があります。消化して取り込むという器官は単細胞生物にもあり、
    生物として基盤を成します。






    そうそう。「千島学説」というのをご存知でしょうか。


    千島学説とは、千島喜久男博士が提唱したユニークな学説です。
    一般的には、ヒトの血液に含まれる細胞成分(血球)は骨髄で細胞分裂によってできると
    考えられます。しかし、千島学説では細胞分裂によらず腸で食べ物から作られると考えます。
    これを「腸内造血説」といいます。




    科学的・医学的に広く認められている説ではありません。


    ただ、「気海丹田」と云われるように、単純に丹=赤ですし、田というのも何かを生産する母体
    であります。この場合ですと小腸絨毛でしょうかね。気血を生み出す場所という大元、ということで。


    血は発生しなくても、血液が小腸絨毛を巡ることで外部から取り入れた様々な栄養素を全身
    の細胞に運ぶわけですから、大事なことには変わりありません。
    血液の質に関わることなので、健康にも美容にも大事な大元でしょう。






    エステだったり病院だったり整体など、外部の力を借りるのはいいと思います。
    ただ、元々の生命力だったり自分の治癒力だったりを普段から維持しておくことで、
    その手助けはさらに役に立つでしょう。

    古代ギリシャの医師であるヒポクラテスは言いました。
    「人間は体内に100人の名医を持つ。 医者のなすべきことは、その名医を手助けすることだ」。



     
    病院があるのはたいへん有難いことです。ただし、みずから「患者」になり、「病人」に
    なっているとも思える節があります。特に日本は医療制度がとても充実していますので、
    そこに大いなる「甘え」があるのかもしれません。
    一概に判断はできませんが、ちょっとしたことで救急車を呼んで大騒ぎするなど、
    どうしても甘えと依存があふれ出しているように感じてしまいます。


    あるいは、病院が高齢者の「サロン」と化しているところも多いようです。
    これには李老師も嘆いておりました。




    よい気血を保つこともまた健康や美容の秘訣です。















    美しき太極拳女子を応援します-04

    テレビを見ていると「腸環境ダイエット?」(名称失念)という、腸に働きかけて
    美容だったり健康だったり、向上させていこうという内容でした。




    芸能人が施術を受けたり自宅で運動にチャレンジした結果、ウエストが締まったり、
    便秘が治ったり、腸を整えることによりさまざまな効能が出るという事をやっていました。


    これはうちでも似たようなことやってるなー・・・と観ておりました。


    スワイショウやら八卦掌やらetc。
    ※テレビでやっていたのは「専門家の施術+指導による自宅エクササイズ」による賜物
    なので、一概に同一化することはできません。念のため。










    腸を活性化させることはとても良いです。先にも書きましたが、生物としてもっとも最初に
    できた原初の器官として小腸があります。消化して取り込むという器官は単細胞生物にもあり、
    生物として基盤を成します。






    そうそう。「千島学説」というのをご存知でしょうか。


    千島学説とは、千島喜久男博士が提唱したユニークな学説です。
    一般的には、ヒトの血液に含まれる細胞成分(血球)は骨髄で細胞分裂によってできると
    考えられます。しかし、千島学説では細胞分裂によらず腸で食べ物から作られると考えます。
    これを「腸内造血説」といいます。




    科学的・医学的に広く認められている説ではありません。


    ただ、「気海丹田」と云われるように、単純に丹=赤ですし、田というのも何かを生産する母体
    であります。この場合ですと小腸絨毛でしょうかね。気血を生み出す場所という大元、ということで。


    血は発生しなくても、血液が小腸絨毛を巡ることで外部から取り入れた様々な栄養素を全身
    の細胞に運ぶわけですから、大事なことには変わりありません。
    血液の質に関わることなので、健康にも美容にも大事な大元でしょう。






    エステだったり病院だったり整体など、外部の力を借りるのはいいと思います。
    ただ、元々の生命力だったり自分の治癒力だったりを普段から維持しておくことで、
    その手助けはさらに役に立つでしょう。

    古代ギリシャの医師であるヒポクラテスは言いました。
    「人間は体内に100人の名医を持つ。 医者のなすべきことは、その名医を手助けすることだ」。



     
    病院があるのはたいへん有難いことです。ただし、みずから「患者」になり、「病人」に
    なっているとも思える節があります。特に日本は医療制度がとても充実していますので、
    そこに大いなる「甘え」があるのかもしれません。
    一概に判断はできませんが、ちょっとしたことで救急車を呼んで大騒ぎするなど、
    どうしても甘えと依存があふれ出しているように感じてしまいます。


    あるいは、病院が高齢者の「サロン」と化しているところも多いようです。
    これには李老師も嘆いておりました。




    よい気血を保つこともまた健康や美容の秘訣です。















    2015年3月27日金曜日

    独立歩

    かなり乱暴に書いてしまうと「片足立ち」のことです。






    ひとつの難関でもあります。
    片足でグラグラ。まして足を上げるなんてとてもできない!・・・という感じです。








    見落しがちなのですが、上げる足ばかりに気を取られてしまって支える足のことを
    忘れていることが多いです。支える足に気を配っていれば、立つだけならそう
    難しくはありません。




    あと、脚を高く上げようとしないこと。
    はっきりいって、見栄です、見栄。
    ガチガチの動き方で、歯を食いしばって高く蹴ろうとしている場合もありますが、
    体に悪いだけですからね。また、蹴り脚ばかりに気が行ってしまって骨盤が思い切り
    傾いてしまったりしては意味がありません。




    太極拳はご存じの通りゆっくりの動作です。勢いでごまかしができません。
    ゆっくり上げて、ゆっくり下ろすという動作です。勢いと反動でエイヤッと
    蹴られないので、余計に難しいと思います。
    等速が約束の套路で「蹴り」だけパッとやるのは認めません(笑)。




    さらに、太極拳的に高く足を上げてハイキックをするということは、柔軟性はもちろん
    上げ下げする筋肉、持ち上げて維持する筋肉などが必要になりますから、
    それはもう難しい難しい。
    ※上手い人は骨と筋でできるのでそこまで大変ではありませんが、到達するのが難しい。


    姉弟子のようにローからハイ、前蹴り、下段蹴り、膝蹴りまであれこれ
    「(楽しく)蹴りた~い」人はバシバシやってますが、普通はそこまでやらなくても問題ありません。












    太極拳的に大事なのが独立歩、つまり片足立ちでバランスを取ることです。そして、
    脚を高く上げる前に大事なのが膝を上げることです。


    太極拳は技としてハイキックもミドルキックもありませんので、脚を高く上げる
    必要がないのです。迂闊な蹴りは相手に取られてしまいます。




    ただし、独立歩が太極拳の目的ではないことは申し上げておきます。
    独立歩が技なのではなく、技を完成させるために片足立ちになる必要があります。
    たとえば分脚、金鶏独立、退歩跨虎・・・いずれも独立歩または独立歩を伴う型。
    そして、どんどんグラグラしてください。グラグラしている中でバランスを取り戻す
    練習だと思って、恐れないでチャレンジしてください。日常だといつバランスを
    崩すか分かりません。




    また、実は上述の姉弟子のように何か蹴る対象、たとえば目の前に敵がいると
    思って蹴ると不思議と安定することが多いように思います。これもまた太極拳の
    武術性でしょう。基礎鍛錬ではこういう「仮想感覚」も地味にやっています。




    脚を高く上げる必要はないと書きましたが、女性が脚をスラリと高く上げる様の
    美しさを考えると、追求するのもむべなるかな。
    太極拳だけでなく、八卦掌でもよく合いますね。


    まずは基礎鍛錬、そして太極拳の型の動きで筋肉の無駄な力みを抜くことを覚えると
    けっこう柔らかくなります。







    2015年3月20日金曜日

    太極拳の基本  攬雀尾(らんじゃくび)

     新入会の会員さんたちに「攬雀尾(らんじゃくび)」を指導しました。


     いきなり型の1番目から・・・というわけではなく、もっとも頻繁に出てくる型であり、
    かつ太極拳の基本であるを攬雀尾の流れを学んでもらうのが目的です。
    掤・捋・擠・按の動作から成ります。そこに採と挒を加えて合わせて6つの動作を
    学習してもらいました。これがある程度できるようになれば、
    皆で太極拳をする時に付いてくるのがかなり楽になります。
    動作が小さく短いので自宅学習にも向いています。


     そして師範の指示でを搬攔捶(はんらんすい)を追加しました。
    一見すると普通のパンチのように見えるんですが、その実、パンチではありませんし、
    また、突きだけに終わる型でもありません。
    ただ、搬攔捶の型云々よりも最も理解してもらいたいのが、
    まずは拳を「置く」ということ。当てるのではなく、「置く」こと。
    太極拳では大事な要素ですが、実はこれがなかなか出来ないのです。
    技巧的に難しいとか運動神経とか筋肉とかの問題ではなく、ついつい深層心理的に
    まっすぐ腕を伸ばして突いてしまう。


    一回二回程度では無理なので、このあたりを根気よくやってもらうことにしています。








     人の性(さが)といいますか、どうしても「腕」でやりたくなってしまうんですよね。
    なめらかな動作であったり、おさえこもうとする力の掛け方であったり。そうではなくて、
    いかに身体の力を有効に使ってもらうか、そういう身体の動かし方にシフトしてもらうか、
    が重要です。腕と身体、そして脚がつながれば、それだけで動きがきれいになります。




     こうして新会員さんたちに攬雀尾の一通りを学んでもらいました。
    攬雀尾をしている間はずっと三体式で立つので、それだけで十分に鍛錬になっています。
    説明でどうしてもわかりにくいところは武術的用法を見せたり、軽く体験してもらったりしますが、
    太極拳が武術であることに驚かれてしまうのはお約束。




     そして、やはり人によって得意不得意がありますね。
    不得意を直しつつ、得意な技を伸ばしていってほしいです。






     余談ですが攬雀尾の雀は「孔雀(クジャク)」を指しているという説があるようです。
    孔雀というと優雅さばかりが目立ちますが、その実は「毒蛇喰らい」の
    猛々しい鳥です。サソリやヘビなどを平気で食べるところから邪気払いの象徴として
    仏教系では「孔雀明王」の名で信仰に取り入れられたりもしています。
    ギリシャ神話@女神ヘラのペットでもあります。


    ※お分かりの通り、「孔雀王」の話をし始めると長くなるんでこのくらいに(笑)


    ※※実はヘビやらサソリやらを喰う鳥はけっこういます。逆にクジャクは
       ニラやネギ、タマネギも食う悪食っぷりを知って驚いたことがあります。
       飼うのは餌に関しては楽そうですが、蹴爪がデカいんで蹴られると
       かなり痛いようです。




    孔雀のように、優雅さの中にも秘めた強さ・芯の強さを備えることが
    求められているのかもしれません。






    まだ会員枠はありますので、春からやってみたい方はお早めにお申し込みください。
    見学・体験は随時受け付けておりますのでご遠慮なく。





    2015年3月17日火曜日

    丹道

    李老師の知人でもある「丹道」の胡坤壬老師が台湾から大阪に来られていました。

    せっかくの機会でもあるので、丹道の講義に参加してきました。胡老師は日本語があまり得意ではなく、
    李老師の通訳のもとで授業が進んでいきました。

    丹道というのは、道教系仏教ともいうべき道義に基づいて「智慧を拓く道」を本題とします。そのための禅であり気功養生法であります。
    智慧は仏教における様々の結果として得られた「悟り」のことで、また般若心経で有名な般若はサンスクリット語の漢語訳で、ほぼ同義です。



    「性」「命」「心」「霊」を禅によって修めようというものであり、そして丹というのは心にも体にも効く「薬」であり、それを我が身に宿して練り上げる、
    という具合にお考えください。さらに広く見ると世の中に対してのクスリ=文化といえます。

    中国では伝統的に「性命双修」ということが言われており、「性」は、性質、本性として、それを養うとは精神性、人間性を磨くことになります。
    「命」は、身体の健康です。「性命双修」とは、「性(人格)」にも「命(健康)」にも片寄らず、両方を並行して気功の修練を行っていくことを重要視します。
    気功の修練の目的として、「悟り」があります。





      ※もっと簡単にいえば「心身の養生の道」でその道の先に悟りがありますよ、と。「悟り」なんて書くと大層な感じがしますが、
       「自己発見」といいますか、固定観念や感情などを払しょくして真我や宇宙観に到達するということも含んでいると思います。
       
       以下は私の憶測なので読み飛ばし推奨。
       悟りを「大層に」「難しく」「考えてしまう」のもある意味、社会世間に「束縛」され「影響」を受けた結果に出た感情と云えます。
       抱え込み、がんじがらめになった固定観念の鎖をほどいていく行程かもしれませんね。   


    座学では道義や概念、要訣などを教えてもらい、実技ではいわゆる座禅を習いました。

    座禅といっても、日本のお寺でよくあるような感じではありません。寝ていたら肩をバシっとやられるとかはありません。
    修行とイメージするほどのこともなく緩いのですが、その分、自己責任ですね。

    みなで座禅をしますが、ちらっとみるとコックリコックリとしている人もいます。
    寝てしまってはダメでそういう時は「さっさと寝る」とのこと(笑)。

    また、意のよって気だの何だのを導くとか、そういうものでもありません。
    まさに「無為」ですね。


    太極拳に通じるものもあり、たいへん勉強になりました。

    2015年3月14日土曜日

    美しき太極拳女子を応援します-03

    最近、トマホーク(手斧)が気になっております。もともとの発祥はベトナム戦争で米軍が使用したことが契機のようです。
    海外ではCQC(近接格闘)などが中心となり、日本でもようやく知られてきた感じがあります。


    中国武術では鴛鴦鉞(えんおうえつ)などがありますが、あれは握り斧って感じですか。
    日本の武術ではほとんど見かけません。本来的には武器ではありませんしね。
    でも、白土三平の描く忍者漫画にはかならず出てくるんです。特に「ワタリ」とか有名ですね。




    斧と云えば「マキ割り」が思い浮かぶと思います。
    パカパカと割っていくのは大変なストレス解消になりますね。筋トレとしてのイメージもまたありますが、
    筋肉を使ってではなく、斧の重さを利用するのが疲労も少なく効率的で好ましいようです。










    さて、本題。
    書店などではさまざまなトレーニングにかんする本がありますね。
    腹を引っ込めるのは永遠のテーマとなっておりますが、ここ数年で増えてきたように思うのは「体幹トレーニング」とか、
    「道具は要らない!自重を使う訓練法」とかありますが、太極拳ではとっくの昔に・・・というより、ごく当たり前のことです。


    逆に体幹やインナーマッスルに関わらない基礎練習があったかな?というレベルです。
    とうぜん太極拳の型を低い姿勢でするのもかなりの体幹トレーニングです。






    体幹筋(たいかんきん、羅名: musculi trunci)は広義の骨格筋のうち、体幹に属する筋肉を総称したものである。
    体幹筋は前体幹筋(主な一例腹直筋、腹横筋、腹斜筋、大胸筋)と後体幹筋(後背筋、脊柱起立筋、僧帽筋)に分けられる。
    体幹筋に対して、上肢、下肢に属する筋肉を体肢筋と呼ぶ。略して体幹とも呼ばれる。
    BIG3ではベンチプレスで胸部、デッドリフト、スクワットで背中を鍛えることができる。


    体幹筋 wikiより抜粋




    体幹は胴体の曲げ伸ばしのほか、姿勢を保ち、体全体のバランスをとる役割を担っています。
    そしてもっとも大事な呼吸の役割もあります。

    このように体を支える為の最も重要な筋肉ですので逆に体幹が弱すぎると、姿勢が悪くなったり、腰が曲がったり、
    物を持ったときにギックリ腰になったり、といった具合に生活に支障をきたします。
    また呼吸も浅くなり、循環も悪くなってしまいます。

    怪我や体調不良を避ける為にも、体幹は強いほうが良いです。
    特に女性は筋量が多い方が美容だけでなく健康上からも好ましいと思います。




    ただ、太極拳では特定の部位を鍛えるという考え方ではなく、型や様々な姿勢、
    歩き方における「動作」に関連した方法が主流になっています。
    何よりも呼吸に携わる筋肉をもっとも重要視しています。横隔膜が筋肉痛になったりしたら、
    むしろ喜ばしいことかもしれませんね。

    フィットネス風にいうと「スロートレーニング」でしょうか。
    ゆっくり動くのは決して高齢者向けのためでも、わかりやすいためでもなく、ただただトレーニングのためなんですね。

    そしてトレーニングに終始することなく、ある程度下地ができれば、次は調身や調息に移っていきます。
    心と身体、そして呼吸の三者を整えていく行程です。
    太極拳がただの運動に終わらないということですね。





    春からチャレンジしてみたい方、見学・体験も受け付けています。


    2015年3月3日火曜日

    美しき太極拳女子を応援します-02

     ひな祭りですね。本来ならば旧暦なので来月の後半なのですが、新暦でもお祝いしてしまいましょう。桃の節句ですが、よく知られているように桃には邪気を払う力があります。そして生命力の源としても知られています。西遊記の孫悟空も西王母の桃を盗み食いして不老長寿を得ました。


    ちなみに、桃花あるいは桃花殺(とうかさつ)という占事用語では「多淫、色欲」を示します。物事には表があれば裏があるということでしょう。


    余談ついでに、桃にちなんだ技もあります。それは太極拳ではなく八卦掌で「猿猴献桃」という技です。意訳すると「おサルさんが桃をプレゼントしちゃうゾ」という意味です。こじんまりして地味ですが女性が使ってもけっこう強力な技ですよ。姉弟子の得意技のひとつで、先の意訳のようなノリで技をかけてきます(笑)。いや、これくらいのノリの方が殺気が無いのでス~ッと入ってこられてしまうんですよ。






     さて、太極拳と云えば呼吸です。吸って、吐く。これだけのことですが、最重要です。体の内側とかインナーマッスルとか、とにもかくにも身体の内側を目覚めさせるには呼吸が最大の近道です。
    太極拳的にいうと「吐いて、吸う」であり、むしろ吸うことは体に任せます。呼吸筋、肋骨、背骨、横隔膜、骨盤底などなど、およそ身体の中すべてに影響があります。


    実際に教室内では初心者に呼吸法など細かいことは指示しません。とにかく呼吸を忘れないことを、くどい位に言います。それくらい呼吸と云うのは忘れがちなのです。そういう注意を耳にして、中級者でも「あ、忘れてた(∥・Д・)」みたいにコッソリ修正します。
    まして太極拳では立って動いているわけですから、ついつい四肢の動きに気を取られてしまいがちです。そのせいで呼吸がとんでもなく浅くなったり、下手をすると息を詰めていることすらあります。呼吸法や何やらのテクニック云々以前に、まず「吐いて、吸う」ことが何より基本なんですね。


    ちなみに、呼吸はいわゆる心身のデトックスの基本でもあります。体内に何も溜めない、溜めこまないことが大事です。吐出ということは内側から外に出す流れを形成し、それを基本である呼吸から構築していくわけです。


    内側から、外に出す。武術であれば「勁(けい)」。健康であれば「活力・弾力」。美容であれば「デトックス」。




     春から太極拳を始めてみたい、やってみたいという方。まだ定員に空きがありますので、お待ちしております。





    2015年3月1日日曜日

    美しき太極拳女子を応援します





    師範曰く、「理に適う動きをすると美しくなる」。




    勉強のために演武会や各種武道大会に見学に行っておりますが、太極拳に限らず、古武術や武道を嗜んでいる女性は綺麗な人が多いと思います。


    流派の宗家や師範よりもまず女性を見る(笑)。
    冗談はさておき、練習に励み、演武に臨む女性には「凛」とした美的印象を受けますね。
     




    顔色、肌つやが良いということもありますが、それに加えて身のこなしや姿勢がたいへん整っているからだと思います。
    太極拳は、姿勢であるとか目線であるとか立ち居振る舞いであるとか、「行住坐臥」の基本的な見直しから始まります。「行住坐臥」とは日常の立ち居振る舞いのことです。「行」は歩くこと。「住」はとどまること。「坐」は座ること。「臥」は寝ること。


    すべてに呼吸が伴い、軸、丹田、重心、気etc・・・・・・基本を踏まえて套路(型)を行うことでどんどんと身体が変化していきます。また、無駄な力でブンブン動かすこと・肩で動かすことを極力避けますので、動作に角がなくなり、やさしく、たおやかさが出てきます。


    そうそう、肩で動かすことを避けるのに関連して、デコルテラインもきれいになってきますね。肩がスッと落ちて、アゴ、首につながるラインがとても優美になります。さらに周辺視を心がけますので、目力があるけれど、ギッと睨んでいないという不思議な感じになります。