6月も半ばを過ぎ、旧暦の5月に入りましたね。
旧暦5月は高温多湿の盛夏であり,伝染病や毒虫の害がはなはだしく,悪月とされた云われもあります。
22日は夏至なので、まさに「夏」の中の「夏」です。
旧暦の5月は「午月」でもありまして、「午」は十二支いうならば真南・火気の正位にして帝旺です。
要するに真っ盛りってことですね。
「夏至」を境にして、今まで陽に上っていたのが、陰に転じていく境目です。
7月下旬は暑いだけの下り坂の「夏」で、8月は残り物の夏です。
とはいえ、世間ではこれから来る夏に向けて、
女性誌やフィットネス誌にも「美脚」の二文字がさんさんと輝いております。
いかに脚を鍛えるかっ。美しくなるかっ。
先のブログでは「キックボクシング女子」と書きましたが、
モデルさんを中心に脚を激しく動かすタイプのフィットネスが支持されているようですね。
ストレス解消にもなるし、運動量も大きいし、利点が多そうです。
4月には元・ムエタイの日本人女性チャンピオンが「キクササイズ」のジムを東京に
オープンさせました。
また、スポクラの会社がアディダスと提携して、
“走らなくても走れる脚をつくる”プログラム『adidas gym&run』を拡大展開するようです。
本当に「脚技」は女性の特権です。
さて、「脚」というのは二足歩行の動物である我々にとって生命線です。
武術的に見るならば、攻めやすく守り難いところでしょう。
太腿だけじゃありません。内腿、膝、脛、足首、足指etc・・・。
そして、「足元がお留守になってますよ」ではありませんが、
意外に守りにくい。目が届きにくい、意識が行きにくい、バランスを崩しやすい。
当てやすいのです。
もっとも、これらは武術的な見解なので、そこまで気にする必要もないかもしれません。
そして、加齢による脚の機能の低下。特に骨盤・股関節の筋肉が弱ってくると大変ですね。
美容に関係する数々の雑誌やサイトで取り上げられているので割愛します。
李老師は「脚は手のように使い、手は脚のように使う」と云います。
手よりも仕事が2つほど多いのです。
それは「重心移動」と「身体を支える」ことです。
太極拳では蹴ったり歩いたりするだけでなく「気を通じさせる(意識を届かせる)」
練習・意識が加わりますので、そういう意味ではひと手間多くなってしまいます。
太極拳の型では前に出す脚は、常に変化することを念頭におきます。
前に出す脚は移動かもしれないし、攻撃になるかもしれない。
スッと受け流す動きになるかもしれないし、足の裏で受ける動きになるかもしれない。
繊細な脚の感覚と動かし方を習得します。
何も特別難しいことをするわけではありません。
「ゆっくり」と「丁寧」に「大きく」動かすことを心がけるのが基本になります。
ただ、これを心がけるとついついやってしまうのが「下を見る」こと。
逆に云うと「普段どれだけ脚の動かし方と感覚がいい加減か」の良い証拠です。
これも早々に卒業するように練習します。
モデル・タレントの「青野楓」
もちろん、物理的に動かす基礎である鼠径部・股関節もバッチリ練習します。
太極拳の脚技の基本は「膝を高く上げて、降ろすこと」。
足先じゃありません、まずは膝を上げること、です。
一見すると楽そうですが、太極拳的に上げるとなると予想以上にハードルが上がります。
(もちろん、段階に応じて、ですが)
膝を上げることに夢中になると軸足が疎かになります。忙しいですね。
そして、上げたものを下す。ドスンと落としては意味がありません。
自分の責任で、自分の力でゆっくりと下します。
一方で、「脚がここまで開く」とか「高く上がる」といった
可動範囲の柔軟性はあまり要求していないのですね。
あるに越したことはありませんが、少なくとも優先はしない。
太極拳には基本的にハイキックやミドルキックはありません。
とはいえ、蹴り技大好きK姐先生がA先生の指導を仰ぎつつ個人的に研究しているようです。
相手を崩してからの垂直蹴り上げは見事ですね。
もともと柔らかいこともあったのですが、膝の上げ方を工夫してから
威力が増してきたように思います。
先ずは内腿、腸腰筋などのインナーマッスルを鍛え、股関節周りの小さな筋肉をどこまで使えるようになるか、
連動させられるようになるか、が重要です。
骨盤底筋群も見落とせません(太極拳では常に意識しますが)。
ついつい膝が開いてしまうとだらしなく見えてしまいますからね。
また、隙を無くし無駄な動きを排し、重心を安定させるので、
なにより「足運び」が優雅に、美しくなります。
「剣」と「脚技」は女性に与えられたギフトですね。
※6/25 補足編を追加
うちの流儀にはハイキックがありませんが、女子研究会みたいなのはあります(笑)。