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中央式太極拳は南京中央国術館副館長【陳冸嶺老師】により編纂された南京中央国術館正宗太極拳
を起源とする、古式総合太極拳です。
気の武術の奥義は、これ即ち 健康長寿の奥義。
今日、太極拳の医学的健康効果は多くの医学論文で実証されてます。
先ずは気を感じる事から始め、自身の免疫力、自然治癒力を高めましょう。

2015年5月11日月曜日

太極拳と膝(ひざ) 

「膝」。
その重要性はことさらに云うまでもありません。


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スポーツでの「ひざ」


  • 膝は体重を支える重要な部位だが、負傷するケースも多い。膝が伸びた状態で正面からの衝撃に弱く、体重が過度に重いと膝に負担がかかり障害を起こす。半月板や前十字靭帯の負傷、傷害のケースは多く、腰に次いで直立二足歩行の弊害を大きく受けている箇所である。

  • また、横に捻る動作に全く対応していない。格闘技で使用される関節技でヒールホールドというかかとをひねる技があるが、この技は膝靭帯を破壊する危険な技である。

  • その反面、曲げた状態で体重を乗せる膝蹴りは膝という鋭利な部位を有効に使えるため重くて硬く、使用頻度が高い。



  • 「膝」-Wikipediaより抜粋


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    上記にもありますように、膝は「横に捻る動作に全く対応していない。」のです。初級者ばかりではありません。中級者であっても、ついつい膝から捻る動作に入ってしまいます。また、膝に体重が乗ってしまうような歩き方をしてしまっていることもあります。これらが重なると膝に大ダメージが来てしまいます。


    ウォーキングやジョギングなども健康的でたいへんよろしいのですが、膝をいたわることの重要性もよく説かれています。アスファルトの上を走るのであれば、30分ごとに休憩を取ったり、ストレッチを行う事で関節軟骨の負担を減らす事を意識する、などです。






    さて、練習中でも時折「膝が痛い」という声が上がります。
    姿勢などをチェックしたり、アドバイスしたりするのですが、外部が如何に手を尽くそうと結果的には『身体の使い方が悪い』という結論になってしまうのです。
    (外科的要因によるもの等はその限りではありません)


    仮に一から十まで姿勢や重心などを正しく物理的に調整してあげても、右を見て左を見ればもう元の「自分」に戻っています。整えてあげた形が一瞬で崩れてしまうのです。それだけ普段の身体の使い方の癖は強いのです。まるで突き放すような言い方ですが、誰も代わってあげられない「自分の身体」の運動失調は、他の誰でもない自分自身で調整しないといけないのです。骨格、筋肉といった組織から神経系、備わっている身体能力など、誰一人として同じ人はいないのですから。


    どうすれば痛くないか、動けるか、自分の身体を感じて、調整を重ねて模索していくのです。一方で、膝が痛いからと云って「膝」だけに捉われていては解決は遠くなります。足首、股関節、脇腹、肩甲骨、首、重心の位置や目線、足の裏など、たくさんの部分を見直して調整します。
    文章で書いてしまうと大変そうに見えてしまいますが、考える必要はなく、落ち着いて自分の身体を感じていけば、自ずと「道」が見えてきます・・・・・人によっては「蓄積・段階型」だったり、「閃き・気づき型」だったり、丁寧にコツコツやっていればたどり着けるでしょう。









    太極拳はいわゆる「武術」に基づく身体操作であり、そういう点においても自分の身体に負担をかけるものではありません。ただ、人間が生まれ持った動きではないので、「武術」としての基本の動き・立ち方をしっかりと習得する必要があります。
    それだったら覚えの良い若い時にやっておけば・・・・と思ったかもしれない人、そうではありません。太極拳はとりわけ「ゆっくり丁寧に」が求められるので、むしろある程度年を経た人の方が向いています。エネルギーがありあまっている若い人だと、とてもじっくりやっていられません。




    話を戻しますが、基本がしっかりできていないと、太極拳のより高度な動きができないのは当然、膝だけでなく、腰や首などを痛めてしまうこともあります。
    このあたりは「バレエ」なども同様かと思います。バレエでは、「バレエ」の動きの基本を徹底させます。どんな動きであっても基本から逸脱することはありません。どれだけ上達しても必ずバーレッスンでチェックします。




    太極拳も、実は基本鍛錬で動きをチェックしたりしています。いちばん分かってしまうのが「恐怖の脚上げ後ろペンギン歩き(通称)」ですね。






    太極拳の基本さえ身につければ、おおらかに動くこと、動けることがとても楽しくなってくると思います。ただ、どうしても型をきれいに演舞することに目が行ってしまいがちです。しかし、どんな植物も水をやったり土を手入れしてやったりしないと美しい花を咲かせたり美味しい果実を実らせないように、しっかりした土台を培うことでようやく演舞がうつくしくなっていくのです。






































    2015年5月9日土曜日

    あのときの型 このときの型

    いきなり変な話ですが、当会は講師によって教える型が若干異なる時があります。
    李老師の型も、30年前、10年前、半年前と今で異なります。


    手型、手先の角度、過渡式(形から形への動き)etc・・・。



    こう書いてしまうと「そちらの会では統一された型がないのですね?」
    ・・・と思われてしまうかもしれません。
    実際、会員さんによっては「あの先生はこういった」「この時ああいった」といったこともありますので。




    なぜそのようなことが起きるのか。
    戸惑うだけじゃないか?と思われるのも無理からぬことでしょう。



    それは型の変更ではありません。変化です。
    応用であったり、解釈であったり、変化の研究であったりの結果で、
    時に基本に立ち返ったり、時に他流派を参考にしたり、時に古の理論をひも解いてみたり・・・。
    陰陽五行に通じる李鴻儒老師の気付きや講師陣の日々の研鑽・研究の成果であります。
    そして、さまざまな可能性や応用、ヒントを教えてもらえる良い機会なのです。








    また、指導員たちやベテランがまったく戸惑うことなく素直に教えを受けているのは
    共通している「約束事」があるからです。
    約束事とは「変わらない部分」です。


    月が昇り、沈むことは変わりません。ただ、月は常に変化しております。
    三日月もあれば満月もある。そういうことです。




    約束事ですが、ひとつは、三体式の立ち方。
    ひとつは、物理的なこと(丹田から動く、身体で動く、最短で動く、無駄な動作はしないetc)を
    守っているからです。
    ひとつは、八卦掌や形意拳の基礎です。
    この約束事を身に沁みこませるために、当会では基本を重要視しています。

    余談ですが、古い会員さんだと、昔の李老師の型を覚えている方もおられて、私も比較したり参考にしたりすることがあります。




    また、段階や状況によって教え方を簡略化し、時にエッセンスのみとすることも多々あります。
    まず大まかな流れを覚えて欲しい、あるいは左右の手の動的バランスを感じて欲しい、など
    その場で何を優先するかで異なってきます。
    もちろん、これはどういう目的で云々・・・と付け加えますが。


    余談ですが、以前、高齢者が多い教室で李老師が(言葉の大変さもあるので教えるのに苦慮したのか)
    びっくりするほど一部の型を簡略化して教えてしまったこともありました。

    後にその教室に行く機会があり、理屈としては間違っていないけれどと思いながら、
    私が「それはおかしいですよ(汗)」というと「李老師から教わった云々・・・」と
    こちらも説明に大変だった思い出があります(笑)。


    2015年5月7日木曜日

    声とタイミング

    私は趣味でダンスのスタジオにも行くことがあるのですが、
    たまたまそのクラスで、チーフ先生の教える合間にアシスタント先生が
    ストレッチやコンビネーションを教えてました。

    特にストレッチはいつもの先生と一言一句ほとんど違いません。
    でも、この感じ方の「差」。
    同じ人間などいないのですから違って当たり前なのですが、
    なんかこう、ノってこないんですよね。


    他のクラスのベテランの先生とも決定的に違うのは何だろうか?
    練習をおろそかにするわけにもいきませんのでとりあえず考えるのはやめてました。
    しかし、この違いが気になりましたね。


    まず、いちばん違うのが「声」。
    ベテラン先生に比べて薄いというか、あまり通らず、響いてこない。
    ベテラン先生の場合はごく自然に耳に入ってくるのですが、
    アシスタント先生の場合は、なんかこう、意図的に聞き取らないといけない。
    決して声が小さいという訳ではなく、ちょっと大きめに喋ってるな~という感じは
    あるのです。でも、何が違う??

    あと、ちょっとテンポが速かったように思います。
    考える以上にゆっくりしゃべらないとついつい早口になるというのは
    よく云われることなので、演武会の司会では相当ゆ~っっくり喋るように心掛けています。

    ああいった司会は一方通行なので、そういう意味では楽です。
    (本業の人は上手くアドリブを入れたり、客をいじったりもできるんでしょうけど)
    教えるときは生徒との双方向的なやりとりなので、ゆっくりしゃべるのはかなり難しい。


    声のタイミングも全体的に早めだったかな?
    「あ、やべ」みたいにちょっと急いで切り上げる時もありました。
    そうそう。タイミングと云うより、声と声の、動作と動作の「間」の取り方ですね。


    もっとも、私がその先生のクラスで長いのでテンポやタイミング、内容などに
    慣れ切っているため余計に差異を感じてしまうことは否めませんけどね。




    これはなかなか考えさせられます。
    私も毎回あれこれ考えながらなので。

    先週は余技のボールペン手裏剣を他の会員さんに教えて、
    割と短い時間で刺さった時は私の方が喜んでました(笑)。
    これは会員さんがダルマ気功スワイショウをやってくれていたおかげです。
    腕の振りに力みが少なかったので。



    声のテンポ、喋り方、初心者への気の配り方、
    教える中でのリズム、流れ、仕切り、時間配分etc・・・。


    教える側の基本的な姿勢や全体的な仕切りなど、
    私も含めて当会の新人講師陣への研修課題になりそうですね。