太極拳あるいは「易経」に基づいて考え学べば、それは万物の源であると知ることができ、
「元気」の言葉の意味と大切さを改めて感じるでしょう。
「元気」が衰えることは、あらゆる創造性を失うことと同義です。、
元気を養うことを意識する必要があるでしょう。
「皮膚」の営み
太極拳は感覚を重要視します。
感覚は自分自身のモノで他の誰のものでもありません。
先生は、どれほど言葉や補助を尽くしても、あなたの感覚に取って代わって教えることはできないのです。
どうしても自分でやりとげなければならない壁が出てくるのです。
皮膚感覚というものがあります。
単純に分けて、皮膚一枚の「外」と「内」。
単細胞生物のように、生物としての最小単位を原初より区切って以来のものです。
外を感じ、また内を感じ・・・。
そして陸上生物としての進化の粋、内包された海。
外に限りなく宇宙にまで広がる世界、内に底が見えないほど深い内宇宙。
多くは語りませんが、ここに「太極拳」の奥深さがあります。
天を知り、地を知り、人を知る。
東洋の叡智である「易経」との繋がりも深いことが、より一層の深奥さをもたらしています。
さて、太極拳では、身体の一つの組織や器官が一つの役割を担います。
「五臓六腑」も人間の色々な感情と関わりがあります。
その中では脳ですら、一器官にしか過ぎません。
人間の体が小宇宙として在る、というのはそこまで珍しい考え方ではなく、
太極拳もまた武術・養生法としてのアプローチの一つにすぎません。
逆に、「小宇宙で在る」ようになることで、武術にもなるし養生法にもなる、
ということかもしれません。
「人間」としての自我や自己を沈静化し、本来の生命としての在るべき姿を
自身に向けて「静観」することが大事でしょう。
正しい起こりの姿が乾でもある。
「天を楽しみて命を知る 故に憂えず」(『易経』繋辞上伝)