平常の身体のこなし方を戦いのときの身のこなし方とし、
戦いのときの身のこなし方を平常と同じ身のこなし方とすること。
宮本武蔵 「五輪書」より。
これは太極拳、というより洋の東西を問わず、「武術」の究極の目的でしょう。
現在週刊少年チャンピオンで連載中の「刃牙」@板垣恵介。
クローン技術を駆使した結果、宮本武蔵が現代に復活し、主人公の刃牙をはじめとした様々な武術家や格闘家と戦うストーリーになっています。
板垣恵介が描く武蔵はまた独特の雰囲気があって、非常に良いと思います。
「バガボンド」の武蔵とはまた違う趣がありますね。
板垣は作中で「バガボンド」ひいては吉川栄治に系譜をつなげる武蔵像およびを否定気味に描いています。
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地下闘技場にて宮本武蔵と烈海王が戦い、烈海王の敗死をもって決着となった。
徳川翁が武蔵に問う。
烈海王とかの天才剣士・佐々木小次郎とはどちらが強かったのかと。
黙考する武蔵。
「あッ」
「船島だ」
と、武蔵はふと思い出したように船島――巌流島の正式な名称を言う。
そして佐々木某呼ばわり。
徳川翁「忘れてたっぽいが・・・?」
宮本武蔵「いやいや何を言うとる」「思い出したではないか」
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吉川栄治によって佐々木小次郎のよくある美剣士のイメージが定着してしまったことはいうまでもありません。それをここでバッサリと否定したというわけで(笑)。
烈海王を「関ヶ原の合戦」並みの手ごわさであったと評しましたが、一方の「バガボンド」では武蔵と小次郎が初めて出会ったのが「関ヶ原の合戦」なんですよね。
また、現在の進行状況では、宮本武蔵は訳ありで警察署の剣道場において現代剣道の最高峰の選手と竹刀で対決しますがこれを一撃で秒殺・失神。 その後に現れた合気柔術の渋川先生と対決モードに入っています。
が。
さっそく渋川先生が(イメージ刀で)斬られました。
(左腕ごと首を斬られるイメージを感じたわけで)。
老獪で百戦錬磨の渋川先生が油断していたわけはありません。地下闘技場での戦いも見た後ですし、まして相手は常人離れしたオーラの持ち主なのですから。よそ見も計算のうちでしょう。
しかし、おそらく相手の間合いを「素手」前提で考えていたことが失敗だったのではないかと。よそ見も誘いの内かもしれませんが、まさか(イメージとはいえ)斬撃が来るとは思わなかった・・・と。
吉川栄治でもない。「バガボンド」の井上版でもない。板垣版の宮本武蔵の描き方が面白くて毎週楽しみに読んでいます。