旧暦では当の昔に秋になってますし、来月の10/21には土用に入るので、それを過ぎるともう冬です。いちおう世間一般の流れに沿って御挨拶しておきます(笑)。
いろいろと美容、健康、自分磨きの美辞麗句を見かける季節になりました。夏はどちらかといえば肌を出す季節なので「美容」がイチオシでしたが、秋はどちらかといえばケアですね。
夏のお疲れ肌とか日焼けの後始末とか、
エアコンによる乾燥や冷え、日焼けなどで夏に蓄積された肌のダメージは、実年齢より老けてみられることを指す「夏老け」をもたらす。出典「『温感美容』で夏の肌ケア エステローラーなど市場拡大」:イザ!
「夏老け」ですか。コワいですね~。
夏肌疲れだけでなく、体力などの落ち込みも秋や冬に持ち越さないための様々なフィットネスやプログラムがあります。各所でマラソン大会などもあり、いろいろと挑戦しがいのある季節です。
基本的に太極拳は力でも何でも「出すこと」がコンセプトなので、とうぜん、気でも老廃物でも疲れでもストレスでも出し切ることができます。 とにかく溜め込まない。人間は深く吐くように云われてもまず吸い込んでしまいますよね。太極拳はそれでさえも先ず息を吐く事、吐き切ることから始まるのです。
肺から息を出す。腎臓から不要な水分や老廃物を出す。腸からも搾りかすをどんどん出す。心臓は血を体中に押し出す。肌もどんどん汗を出す。人間、取り込むところは口と鼻だけですが、出すところはたくさんあります。このように呼吸を基本として「体の外に出す流れ」を身に着けると新陳代謝が促進されます。また、それこそあちこちでもらってくる(というより取り込んでしまう)不要な「気」を排出する狙いもあります。
一方で、心の方です。
太極拳のゆっくりとした動きは、姿勢(重心、軸)の変化を自分の意識で確認しながら動くことが基本のひとつにあるからです。そのゆっくりした意識的な動作が脳を刺激します。
変な言い方をすると、とても「忙しい」のです。
手足腰が同時に動き始めつつ、目線を水平に保ち、肌の感覚で空気を感じ、身体の陰陽を意識しつつ呼吸も忘れないで云々・・・。こんな感じです。
こういった感覚の刺激が常に脳に伝わるという点が、ジョギングなどほかのフィットネスにはない特徴です。ブログでも何度も書いていると思いますが、太極拳の動作は呼吸との関連が深く、一定のリズムで深い呼吸をともないながら動くことで、脳内のセロトニン神経を活性化する効果があるといわれています。セロトニンにはストレスを減らし、心の安定を保つ作用があり、脳内のセロトニン環境を整えることで、不安を解消し精神を安定させる狙いがあります。
こうして心身ともにリフレッシュを図ることができます。
太極拳は忙しいと書きましたが、もちろん初心者には段階をおって指導いたしますのでご心配なく。
多くの方が太極拳を始めて、自分の身体の動かなさに戸惑います。これだけゆっくりなのに、どうして?と。それは動き方が一般的なスポーツとは異なる上、リラックスして感覚重視で動くためです。
普通は運動すれば体は興奮状態になります。太極拳は心身ともに興奮状態になってはいけないのです。それは太極拳に限らず武術全般がそうです。自分は「明鏡止水」のごとくの心持であらねば、どんな外敵・危難から我が身を守ることなどできないからです。
出すことも動くことも感覚。動きのある瞑想。太極拳は他の誰でもない自分自身の身体との対話なのです。
自分自身との対話は、まさに自分を絶対の「心の拠り所」にできることにつながります。他への依存でもなし、他の目を気にすることもない。他を制する前に自分自身を知ることが、武術でも健康でも最重要になるからです。