「型が覚えにくい」と思ったことはありませんか?
それとも「太極拳の型くらい、簡単に覚えられる!」と思ったことありませんか?
実は、李老師は当然、師範たちの演武を見て覚えるのはけっこう大変な作業なのです。
何故か? ゆっくりなのに不思議ですよね。
それは動きがひと時も止まってなくて流れるように移行しているからです。
区切りがありませんので、初心者は脳が「認識できない」のです。
Aという形を認識したと思ったら既にBに移行していて・・・というパターンに陥ります。
ダンスも、振り付けでは初級クラスはシンプルに「動いて止まる・動いて動いて止まる」
という感じなのですが、上級クラスになっていくと「動いて動く、動いて~止まって、動く動く」と
動きが止め処もなく移り変わっていきます。
先生がクラスレベルに応じて「休憩ポイント」を設けてくれているのですね。
はっきりくっきり「A」なら「A」。「B」なら「B」としてほしいと思うでしょうが、
それをやってしまうと太極拳ですらなくなってしまうのです。
ポーズを取ることが目的ではありません。そうなってしまうとラジオ体操以下です。
※ポーズではなく「立禅」としてできるようであれば既に問題ないレベルです
そう、「A」から「B」に移行するその間、過程こそが大事なのであって、「A」も「B」も
結果に過ぎないのです。
もちろん、明確なポーズだけを覚えるというのは流れを覚えるための「方法」
として悪いことではありません。間に存在する変化についての思考を後回しにして
省略化することも必要です。私も新しい型を覚える時にやります。
あと、人間は忘れます。覚えたつもりでも忘れます。
強い興味、好奇心や感動、驚きなどとともにスッと深層心理にでも入り込めば
かなり強固なのですが、通常の状態、ましてストレス(プレッシャーなど)がかかってしまうと
覚えたつもりでもその時に受けたストレスと一緒に忘れてしまいます。そんなものです。
人間は忘れるようにできているんですね。
型を覚えるということに関しては楽に考えてもらって良いと思います。
「太極拳をしている実感が無い」と云われてしまうとちょっと返答に困りますが、
先生方はその人の型を見ているのではなくて、姿勢、身体の動きや使い方を見ています。
それらは基本鍛錬とか太極拳の基本の攬雀尾とかで練習できていますのでご心配なく。
単純に型だけを覚えるのに良いのは、やはり発表会ですね。
これは良いプレッシャーでしょう(笑)。
私もそれで純陽剣を覚えました。